第7章 ハギ老人とムロタウン
顔と顔を合わせた時、何かを感じた。それはボスと初めて会った時だったか、それとも何か強者と会ったときの感触だったかは分からない。しかし、このガキには何かある…それは確信していた。鋭くこちらの隙を伺う目、ただのガキではなかった。
「興味が出た」
ふとそんな言葉が俺の口から出る。いつもなら考えられないような言葉だ。そんな俺を目の前のガキはきもいと言ったが、それは他ならん俺が一番思ってる。俺はガキをボスに会わせようか迷った。しかし俺の思い違いかもしれない。だから、先程から焚きつけては見るもののあちらから攻撃をしてくるというような事はなかった。そしてガキはゆっくりと手を挙げた。
「聞き分けがいいのは好きだぜ。無駄な労力を使わずにすむ」
俺は笑った。やはり見当違いだったようだ。だが賢いガキなことには変わりはねぇ。大きくなってからが楽しみだ。あと3年後ぐらい経てばボスも気に入る大物になっていることだろう。
「そうだね。私も嫌いだよ。頑張るのも外に出るのも、ポケモンバトルもそれらを強制するクソ親父も面倒臭いし大嫌いだ。でも……」
ガキはそこで言葉を切った。そして握っていた拳を勢いよく振り下ろした。途端に周りに黒い煙が立ち込めた。
「くそっ!!煙玉か。マグマッグ!!」
足音を頼りに俺は指示をした。しかし、マグマッグに動きはない。やられたのか?
「………でもね」
そんな中、ガキは言葉を繋げた。
「でも……逃げてばかりじゃいられない時もあるってことは知ってる」