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可愛いポケモンに囲まれて

第7章 ハギ老人とムロタウン


「………いった……」

背中を強く打ったようだ。その鈍い痛みを感じながら私は目を開けた。

「お前か」

目の前にはニヤニヤとするホムラの姿があった。どうやらワープ玉を使われたらしい。あまりこっちじゃ扱われない道具だけど、こいつらはどこからか入手していたよう。

「………私をどうする気?」

「どうされたい?」

マグマッグを出し、ホムラは笑った。私はゆっくりと立ち上がり彼を見た。

「……………お前のその目は、俺達と同じだな」

「…………は?」

「今のこの世の中に絶望しているんだろ?他人にも……無力な自分にも」

「………」

「初めてお前を見てわかった。お前と俺は同じだ。」

「……あんたみたいな悪党と一緒にするな」

そう言うとホムラは肩をすくめた。

「悪ねぇ。まぁ、確かにボスのやり方はたまにやりすぎな所もある。けどよ、それをしなければならねぇって時もあるとは思わねぇか?なにか行動を起こさねぇと世の中何も変わらねぇよ」

「思わないね。私はニートだから」

「………ふーん。そうかよ。その歳でニート志望ってやっぱり何かあったんじゃねぇか」

「ズズ!!」

マグマッグが攻撃をしてきたので、私はズズにみずでっぽうを命じた。ズズはそれに従ってくれたが、それは完全には消えず、私の足元に落ちた。………こいつ、強い。

「興味が出たな」

「………きも」

「そう言うなよ。中々こっちの暮らしも悪いもんじゃねぇぜ?むしろ発見ばっかで面白い」

「お断り。一生引きこもっていいなら考えてあげてもいいけど」

何か逃げ場はないか。私の後ろは岩の壁。逃げるならば男を通り過ぎなければならない。

「それを決めるのは俺じゃなくてボスだからな」

1歩前に出るホムラに私は1歩後ろに下がる。岩の感触が頬に感じた。

「………くくく。逃げ場はねぇ。逃げさせもしねぇ。大人しく観念しろ」

………仕方ないか。饒舌なホムラに土下座でも何でもして見逃してもらおうと思ったが、それは無理そうだ。だから私は観念した。観念して、両手を上げた。

「聞き分けがいいのは好きだぜ。無駄な労力を使わずにすむ」

「そうだね。私も嫌いだよ。頑張るのも外に出るのも、ポケモンバトルもそれらを強制するクソ親父も面倒臭いし大嫌いだ。でも……」

私はそこで言葉を切った。そして握っていた拳を勢いよく振り下ろした。


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