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可愛いポケモンに囲まれて

第6章 カズミシティに到着


あたりは霧に包まれていた。右も左も分からない。

「………?」

私はえなをボールから出した。なんだろ……あまりいいとは言えないこの雰囲気。

「………えな。なにか来るかも」

野生のポケモンにしては禍々しい。ここをあの2人はわれも忘れて走りすぎたのかと思うとすごいなと感心する。私には無理だ。

「あら?可愛い子ね」

霧の中から声が聞こえた。高い女の声。えなが唸る。

「………誰」

「ウフフ。申し訳ないけどここは通行止めよ。また後でいらっしゃい」

そうは言われてもあのふたりを置いてはいけない。私は構わず一歩足を踏み出した。

「………………聞き分けのない子は嫌いよ」

ドスッ。足元に何かが落ちてきた。よく見ると、足元には数センチの穴が空いており、どうやら警告のつもりらしい。クスクスと霧の中で笑い声がこだまする。

「先に行った子はあなたの友達?ごめんなさいね。急に来たものだから。でも、心配ないわ。すぐに戻ってくるから。……五体満足じゃないかもだけど」

感に触るような声だとおもった。私はえなを近くによらせ、伏せをさせた。

「何をする気?可愛いわんちゃんを連れて、立ち去りなさいな。怖い思いをすることになるわよ?」

「…………怖い思いをするのはそちらだと思うけど…」

「あらあら強がり? 可愛いわね」

ふむ。なるほど。声の具合からやっぱり空を飛んでいるのか。となると、これは白い霧。使っているのはカモメ、ペリッパー……そのあたりか。ならば………私は口笛をヒュッと吹いた。それに足元のえなが反応する。そして、えなは勢いよく走り出した。

「あらあら。逆らう気? 」

次々と先ほどと同じ穴が開く音がする。私はそれを聞きながら、黙って立っていた。この白い霧の中、相手の姿も分からないのは敵も同じ。なら何故、私の居場所が分かるように攻撃できたのか。

「歩く音しかないでしょ」

幸いにもこの辺りは草木が多く、また地面に落ちている枝も葉も多い。その音を頼りに敵は私の位置を確認していたのだ。あとは簡単。たくわえてからはきだす攻撃を繰り返すだけ。それだけで、相手を暗示させることができる。まっ、浅はかって言えばそうかな。
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