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可愛いポケモンに囲まれて

第6章 カズミシティに到着


通路はどうやら隣のジムと繋がっているようだ。

「あのクソ親父がいつ現れてもおかしくないんだよね。だからさっさとここを立ち去らないと」

捕まったら終わりだ。家に戻され、そしてジムへと行かされるだろう。そんなことはごめんだ。

「本当は海に出たかったんだけど……持ち主がいなかったからなぁ」

そう。クソ親父を巻いた後、実は浜辺で船を一艘見つけていたのだ。しかし、結局諦めるしかなかったのだか。あのクソ親父もさすがに海までは追ってこないだろうと踏んでいたのに、残念でならない。

「ねぇ、エメってセンリさん嫌いなの? ずっと口悪いけど」

「嫌い。世界で一番嫌い。もう生まれた時から大嫌い。どれだけ自分が強いか知んないけどさ、それを子供に強制しないでほしいっつーの!」

「ふーん。でも、それって期待の現れなんじゃないの?」

期待……ねぇ。家のことなんて二の次なあのクソ親父が?ないない有り得ないね。

「勿体無いな。ジム制覇目指せばいいのに」

そう呟くルビーに私はため息をついた。やっぱり勘違いしているようだ。

「あのね、私は………あ、サファイア!!」

しかし、私の意識はサファイアの方へと移った。まずはこっちだ。

「サファイア、いい加減にしろよ」

「勝負してもらうまで動かない!!」

これはてこでも動かないなぁ。私はジムリーダーを見た。黒くて艶がある髪を後ろで束ね、その聡明な顔立ちから彼女の強さが伺える。なるほど、これふと筋縄じゃいかないな。

「ちゃんと手順を踏んでからきやがれ!!」

「そうだそうだ!!ツツジ様は___」

お付きの二人が何かしらいうがサファイアはどこ吹く風。ジッとただひたすらジムリーダーを見ていた。

「………いいでしょう。挑戦を受けます」

本当に動きそうもないサファイアに、ジムリーダーが根負けしたのは言うまでもない。
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