第5章 トウカの森へ
「いけ! ポチエナ! あいつらをこらしめてやれ」
「ジグザクマ。お前もだ。あいつらを痛めつけろ」
あーあー。どうするか。このままルビーを置いていくのは簡単だけど、あとから面倒だしなぁ。それにこのオッサンが服つかんでるし。
「頑張れキー!」
キモリが自信気に前に出る。そして、3人のポケモントレーナーはこちらを見た。
「おい、早くポケモンを出せ!!」
悪人なのに律儀に待っていた。
「いや、私は………ズズ」
何故か張り切っているズズ。どうやら戦いたいらしい。僕戦えるよとばかりに足をバタバタさせた。………仕方が無いか。私はズズを下ろした。ズズはキモリの隣に立ってこちらを振り返った。
「はいはい、今行きますから。オッサン、手離して」
「あ、はい! ……っておっさんって僕のこと??」
他に誰がいる?そうして、解放された私は隣に立った。
「ごめん。でも僕、あの泥棒から荷物を取り戻したいんだ。あの人困ってたし……」
申し訳なさそうに言うルビー。私は肩を竦めた。ガサガサと木の葉が揺れた。私はその揺れた方向をじっと見て、そしてルビーにこそこそと囁いた。
「えっ!? 自分で言ってよ!!」
だって私コミ症だもの。じっと見ると、諦めたように彼らに向かって口を開いた。
「え……と…ルールはどうします?」
「あ? そんなのどーだっていいだろ!」
私は囁いた。
「でしたら、交代制というこでよろしいですか?」
「あー! ぐたぐたうっせぇな! なんでもいいから早く始めようぜ!!」
その言葉に私はニヤリとした。ルビーはそんな私を見て、まゆを潜めた。
「トレーナー交代。代打………サファイヤ」
私の声とともに飛び降りてきたのは、目をキラキラとさせたサファイヤ。
「よっしゃぁ!!!!!! 2人か!!!! 私頑張っちゃうもんねぇ!!!!!!」