第5章 トウカの森へ
順調だった私たちの進路。しかし、ここで事件が起きた。
「………あれ? サファイヤは?」
ルビーの声で、この森はどこまであるのかゲンナリしていた私は後ろを振り返った。………前も見た。しかし彼女の姿はなかった。
「………はぐれたねこれは」
「嘘!? この森こんなに広いのにはぐれたらもう会えないよ! あー! だからあいつと一緒に行動したくないんだよ!!」
しかも、サファイヤは野生のポケモン避けのえなを腕に抱えているし、そういえば同じく野生のポケモン対策のころも見当たらない。おそらく彼女について行ったのだろう。………って考えると………うわぁ。
「………むしろサファイヤの心配よりも自分の心配をしたがいいよルビー」
「こういう時いつも僕があいつの尻拭いを………え? ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」
今私たちはえなもころもいない。つまり襲いかかるには絶好の機会なのであって……。恐らく襲いかかれずに鬱憤がたまっていただろう野生のポケモンたちがギラリとした目でこちらを見ていたのだ。私はルビーの後ろを走った。こうなれば出口で彼女を待つしかない。方向感覚は彼女の方が長けており、むしろ彼女の勘を頼りにこの森を歩いていたのだ。よって、彼女がいなくなった今私たちの方が迷う可能性は大。
「いけ! キー! はたく!」
慌てふためきながら、ルビーは手持ちからキモリを出し、後ろから追っかけてくるスピアーに攻撃した。
「あーあー。怒っちゃった」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ! 何とかしてよエメ!!!!!!」
スピアーは怒って攻撃をしてきた。それがまた凄まじい威力で。手持ちの2匹が不在の中、これをどうにかしろっというルビー。
「えー。えなもころもいないし、あいつらは引きこもりでボールから出たがらないし。他に戦えるのは………」
そういえば昨日仲間になったばかりのズズがいた。私はボールを投げた。
「ズズ、なきごえ」
可愛い…というわけではないが、中々の鳴き声が辺りをこだます。それに怯む隙をついて、私たちは全力疾走でその場から離れた。