第11章 カイナシティと母親
「うっわ…」
突然、ゾワッとしたものが全身を支配した。何らかの悪意を感じ、鳥肌が止まらなかった。ズズがそんな私を見て、首を傾げた。
「なんでもない。………風邪ひいたかな?」
私は持っていたソーダを一気に飲み干し、空をゴミ箱に捨てる。
カイリューとお別れしたあと、私はとりあえず小屋の中へと入った。日差しが強すぎてクラクラしてたのもあるが、とりあえずここが何処だか知りたかったためだ。
「お姉さん。顔色が悪いね。これあげる」
そして、サイコソーダを貰い、一休み中なのだ。
「えっ!!!! お姉さん!! 竜の島から来たの!?」
私に声をかけてくれた女の子が驚いた声を出す。てっきり孤島だったあの島をマイナーだと思っていたが、どうやら違うらしい。
「あそこ、ドラゴンポケモンの使い手たちが集まっている島なんだよ!! 凄い凄い!!!!」
確かに、デンさんはカイリューを使っていたな。もしかしたら、タツさんもドラゴンポケモンを持っていたのかもしれない。私はふぅんとだけ言い、立ち上がった。
「ソーダありがとう。私、もう行くね」
デンさんたちのことを考えていたら、あの不吉な寒気もまた脳裏に浮かんでしまった。早々にここから離れなくては…!!
「うん!! 気をつけてねお姉さん!!」
私は彼女にお礼を言うと、小屋から立ち去ろうとした。すると、後ろから思い出したように叫ぶ女の子の声が聞こえた。
「あっ!! 外れの森には近づかない方がいいよ!! つい最近、爆発事故があったばかりだから!!」
私は心優しい女の子の警告に、手を振り返し歩き出した。
「……ヌ?」
ズズが何かを考えるようにこてんっと首を傾げた。女の子の言葉に何か感じたようだ。私は苦笑した。
「そうだねズズ。つい最近、近づくなって言われたばかりだよね」
これを世間では、デジャブ…というのだろうか?