第11章 カイナシティと母親
~誰かside~
焼け焦げた匂いと、むせ返るような黒い煙がたつ場所。そこで私たちは立ち尽くしていた。
「………何よ…これ……」
そこは、確かに私たちの基地があった場所だった。実質的な基地ではないが、私たちが自由に動くことができる程度の設備は整っていた。その基地が…今では瓦礫の山と化している。
「………あ、あんたたち!!!!!! 私たちが留守にしている間…何があったのよ!!!!!!!!」
私は掴みかかるように、ぼんやりと立っている団員に声を荒らげた。すると、団員は歯をガチガチと鳴らしながら、震える声で答えた。
「美しい女が怪物を連れてきたんです」
「………は……はぁ!?!?」
何を訳わかんないことを…!! そう団員を突き飛ばしたが、誰に何を聞いても皆同じような答えが返ってくるだけ。
「……とりあえず、残っている団員を連れてここから離れましょう。人が集まってきました」
もう1人の仲間の言葉に、私は唇を噛み締めた。すてられ船でのあの一件あと、私たちはムロまで流されてしまい、傷も癒えて……これからって時に…!!!!!!
「……我々の邪魔をした3人の子供…ルビー、サファイア……そしてエメラルドでしたか…? 脅威となる彼らを早急に始末する必要があったのですが…これでは当分そちらに時間をかけられませんね」
ウシオさんの言葉に、私は唇を噛み締めた。口の中で鉄の味がしたが、私はさらに噛み締める。この胸の中にあるドロドロとした感情を、処理することはまだできないようだ。
「エメラルド…特にあんたは絶対に許さないわよ。地獄の果てまでも追いかけてやるんだから…!!!!!!」