第10章 離れてしまった仲間たち
「ひえっ!?」
私は突如襲われた悪寒にぶるりと体を震わせた。カイリューは私の体を案じるように抱えてくれ、速度も私の負担にならないようにしてくれていた。……持ち主の優しさを感じる。しかも乗り心地もよく、私は快適に移動していた。しかし、そんな時にこの悪寒。
「な…なにか気づかず内に脅威から逃れていたのか……それとも脅威が訪れるのか……。カイリュー!! もし人影がいたら教えて!!」
こんな上空に人影? とばかりにカイリューは首をかしげたが、元気よく頷いた。あの過酷な戦闘のあとだと思えないな。
「やっぱりカイリューは頑丈なのかな? ドラゴンタイプって育てるのは大変だけど、強いって聞くしなぁ」
そっと撫でてあげると気持ちよさそうに喉をならすカイリュー。本当、性格は飼い主に似なくてよかった。
「タツさんにお礼を言いそびれちゃったな…」
本当、見ず知らずの私によくしてくれる優しい人たちもいたもんだ。だが…少し気になったことがある。戦闘中に見たデンさんのあの攻撃の威力、圧倒的な力、それらを持っているにも関わらず最小限に被害を抑える判断力…それがクソ親父が求める姿と少し重なるところがあったような気がしたのだ。
「………まっ、考えすぎか」
デンさんとクソ親父がなんらかの繋がりがあったとするならば、私を助けてくれた時点でクソ親父に連絡がいっているはずなのだから。
「カイリュー!! ホウエン地方まであと少しだ!! 頑張って!!」
私はすぐにその考えを放棄し、これからのことについて考えを切り替えるのだった。