第10章 離れてしまった仲間たち
~誰かside~
コツコツと響く足音。おさげの髪の少女はゆっくりとした足取りで、瓦礫まみれの廊下を歩いていた。
「本当に可愛かったなぁエメラルドちゃん!!
」
クスクスと幼い笑い方をするおさげの少女は、瓦礫の山から外へと出る。
「お別れが雑だったのは残念だけど…まっすぐ会えるよね!!」
ニコッと笑いながら、少女はボールを取り出した。出てきたのはフーディンだった。フーディンが彼女を見て鳴くと、鬱陶しそうに彼女はフーディンを見る。
「………はいはい。帰りますよ。本っ当、飼い主に似て煩わしいんだから!!」
そして、彼女はメガネを外し地面に放り投げる。
「あとこれとこれも、もう要らない」
上着を脱ぎ捨て、そして最後に髪を思いっきり引っ張った。すると、おさげの中から赤に似た色の髪が現れる。上から下まで赤を身にまとった彼女は大きく背伸びをした。
「ホムラがやけに気にかけると思ったら、貴方だったのね。確かにそそるわ。リーダーもきっとお気に召すことでしょう」
そして、フーディンの頭をそっと撫でる。ご機嫌のようで鼻歌交じりの甘い声で、フーディンに命じた。
「我らの基地へ。リーダーマツブサに報告しなければ。工場は壊滅したけれど、目的のブツは手に入れた、と。あと…面白い人材も…ね」
そして、少女の姿は消え、後に残るのはさざ波の音だけだった。