第10章 離れてしまった仲間たち
~男side~
子供がポニータの背を叩くと、一声上げながらポニータの動きが止まる。罠か…? そう感じたが、俺はユキノオーに命じた。
「ゆきなだれ!!」
現れた時から癪に障る子供だと思った。あのクソジジイはあの子供を気にしながら戦っていた。俺には…そんな愛情を一欠片も見せてはくれなかったくせに。
「あの人…息子同然のあの子が出ていってしまって…。その隙間を貴方を育てることで埋めているのよ」
タツさんはそう言って悲しそうな顔をしていた。俺もそう思っていた。だから俺はどんなに厳しかろうが必死でついていったのに…。だが蓋を開けてみれば、俺は所詮息子同然の男の代わりだった……いや、あの男の代わりにもなれなかった。
「……はぁ…はぁ…」
ユキノオーの雪崩で辺りは白に包まれ、俺の口からは白い息が漏れる。あの子供もクソジジイも何もかも雪の下だ。気づけば俺は笑っていた。ざまぁみろ!! 俺はお前を超えたんだ!!
「俺は……俺は……俺は……!!!!」
「馬鹿でマヌケでーす」
っ!? 俺のすぐ真横から茶化すような癇に障る笑い声とともに、その声は聞こえた。その声の主は顔を背けながら言った。
「ちう、フラッシュ」
と。その声が聞き終えると同時に、強い光が俺の両目に襲いかかった。