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可愛いポケモンに囲まれて

第10章 離れてしまった仲間たち


「……無事か…」

デンさんが身を起こすと、私たちを囲っていたまもりが消え、カイリューが倒れていた。

「カイリュー!? どうしたの!?」

女の子が泣きながら駆け寄った。カイリューはすやすやと寝息をたてる。…ねむる技だ。体力を回復させないと、あのままでは戦闘不能になる。視界が白で覆い尽くされる直前に見たのは、まもりの攻撃を破った雪崩から私たちを庇うカイリューの姿だった。デンさんはその時にカイリューに命じたのだ。

「…こいつにあまり無茶はさせられないからな」

私の視線にそう答えるデンさん。その彼もまた疲れたような顔をしていた。私は彼に問いかけた。

「……デンさん、他にポケモンは……」

「ない」

きっぱりと答えるデンさん。私はちらりと足元の雪を見た。粒が大きく、部屋の大半を雪が埋めつくしている。…まだ2回目にしては量が異常だ。ふと、過ぎるのはすてられぶねの出来事。あの時も尋常じゃないほどの威力のかまいたちだった。

「…そもそも俺もこいつももう歳だ。元弟子の実力がここまでだったとは誤算だった。俺のミスだ」

…あの男、デンさんの弟子だったのか。デンさんのその横顔からはなんの感情も感じ取れなかったが…彼があそこまですごい剣幕だったのには理由があったのだと分かることが出来た。

「お前らは避難しろ。……邪魔だ」

そう言って押し退けようとするデンさん。ポケモンがないというのに、どうしようというのか…。タツさんが心配する気持ちが分かった。無茶しすぎるところがある…まさにその通りだ。

「……デンさん。これあげます。助けて頂いたお礼です」

私は彼の手にポケットから取り出したソレを押し付け、ゆっくりと立ち上がった。

「ちう。ちょっと付き合ってくれない?」

「ちゅ!」

ちうがニコッと笑い、女の子の腕の中から抜け出し、ポニータへと姿を変える。

「おい!! 一体何を……」

私はデンさんの言葉を無視し、ちうに飛び乗った。
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