第10章 離れてしまった仲間たち
男が狂ったように笑う中、私は小さい声でデンさんに聞いた。
「デンさん。ちなみに聞きますけど、炎タイプなんて持っていませんよね?」
「ない。お前は…ってそれらしいのはなかったな」
そういえば、この人には介抱して貰ったときに手持ちを見られていたんだっけ?私が頷くと舌打ちするデンさん。トレーナーなら、持っていろと言わんばかりだ。
「まぁ、そもそもお前には期待していなかったからな。邪魔だ引っ込んでろ。…カイリュー!」
よろめきながらデンさんがそう呼びかけると、雪の中からカイリューが顔を出した。…ゆきなだれをモロにくらったようで、持久戦になれば不利だ。
「いけるか?」
デンさんも分かっているようで、カイリューにそう聞く。カイリューは雄叫び声を上げた。それに、男が臆したように再びゆきなだれを命じようとする。デンさんが後ろの二人を見た。この部屋ではどこも身を守る暇がない。カイリューが凄い勢いで、デンさんと私を掴むと2人の元へ飛ぶ。
「よし!! カイリュー、まもるだ」
「ゆきなだれ!!」
その途端、私の視界は白で覆い尽くされた。