第10章 離れてしまった仲間たち
「……ん?」
欠伸をしながら、私は起き上がった。時刻は午前3時。…まだ夜明け前じゃん。しかし、あれだけ寝てたせいか、もう目は冴えてしまっている。いつもだったら、12時間睡眠もできるのに。
「……あ、星が見える」
光の多かったホウエン地方では、中々見れないくらいはっきりと星々が輝いていた。
「……そういえば、洞窟で寝るの…これで2度目だっけ?」
外で野宿なんて、クソ親父の修行に付き合わされた時に、何度もした。しかし、洞窟で…となると、あの時くらいか。あのときも、こうやって逃げてたっけ?なんだか懐かしくなった私は、ひとつのボールを取り出した。それは、もう何年も出てないボールのひとつ。
「私にもっと力があれば、君が引きこもることもなかったのかな?………いや、無理か」
ボールの中の返事はない。……何をやっているんだろう。この子からの反応は、もう何年も帰ってきていないというのに。
「………ほんとダメなトレーナーだなぁ」
私の呟く声は、海の中に消えていった。