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えそら狩人【H×H】番外編

第2章 出会い / カイト




よく目を凝らしてみると、やはりそれは子供……いや、少女だった。

ここの村人だろうか。

汚れた和服を身に付けていた。


「おいっ、おい!大丈夫か!!」

「…………」


オレは急いで柱をどかす。

少女は思っていたよりもずっと小さく細かった。

そんな細い身体を抱き上げ、声を上げる。


「しっかりしろ!生きてるか!?」

「……ぅ、」


少女は薄く目を開けて、オレを見た。

そして別に驚くこともなく…


「……おなかすいた」

「…………………」



オレにそう言い放った。
















「ほら、食え」

「………………」

「腹減ったんだろ。食わないと死ぬぞ」

「………む」


細い手でオレの差し出したお粥を受け取る少女。

子供でこの細さは異常だ。手にも地震でつかないようなアザがついていた。

どうやらこの地震の前から、コイツはワケありらしい。


「……お前、親は?」

「さっきしんじゃった」


さっきとは……地震のことか。


「…そうか」

「でも、これでごはんたべれるからいいや」

「メシもらってなかったのか?」

「うん、しゅぎょーなんだって。だからずっとごはんたべてなかった。たたかれなくなったしうれしいよ」


この少女が親がいなくなっても涙1つ流さない理由が分かった。

推測だが、この少女はこの寺で生まれたのだろう。

身体つきからして、きっと断食や無理な修行をさせていたのだ。

こんな子供に……


「おにーさんはがいこくじん?」

「外国人……まぁ、そうだな。オレはカイト。お前は?」

「だよ。カイトはなんでここにきたの?」

「ある人を探しに旅をしていてな。ここに来たのはたまたまだ」

「ひとりたびしてるんだぁ!いいなぁ!」


にこっと力なく笑う。


なぜだろう。

今まで世界を回ってきたが、こんな親のいない子供や飢えに苦しむ子供など、腐るほど見てきた。

でもこいつは


親を亡くしても泣けない。

帰る場所もない。

自分の力で生きていくしか道はない。



オレに似ている、そう思ったんだ。




「…なぁ」

「ん?」

「オレと来るか?」
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