第2章 出会い / カイト
しかし、
「やだ」
返ってきた言葉は予想外だった。
「な、なぜだ」
「カイトはごはんもくれたし、そんなにめいわくかけられないよ」
「迷惑なわけないだろう。オレから誘っているんだぞ」
「でもやだ」
「うっ…」
この年にして少しショックを受けてしまった。
し、しかし、ここで諦めるわけにはいかない。
オレはこいつを一人にしたくないんだ。
「じゃあここで面倒みてやろうか?」
「…………」
「どうだ?これならお前も動かずに済むし、オレの勝手だろう?」
「………んで、」
「ん?」
「……なんでそんなにしてくれるの?」
わたしのことなにもしらないくせに、とは不安そうに呟いた。
そんな様子を見て、オレは自然と笑みがこぼれた。
「気に入ったんだ。なぜかは分からないけどな……………お前が一人でも生きていけるようになるまで、一緒にいてやる」
そっと頭を撫でてやると、は糸が切れたように泣き出した。
こいつは、今までに何回泣いたのだろう。
こんな言い方でしか伝えられなかったが、こいつにはもっともっと世界を知ってほしいと思う。
「…試験は当分後回しだな」
「しけん?」
「あぁ、また今度教えてやるさ。今は気にしなくていい」
ずっと一緒にいられるわけじゃない。
オレだっていつ死ぬか分からない仕事をしているんだ。
けれど、こいつには生きてほしい。
別れる時が来ても、再会することを願いたい。
ここにいる間は、オレがお前を守る。