第3章 風邪のキミ
「確かにキミの名前呼んだ気がする。」
「美桜って呼んでましたよ(笑)」
ちょっと嫌味たらしく言ってやった。
でも本当のこと。
確かにあの時、
私の名前を呼んだ。
「そうだったね、美桜。」
それは初めて見た玲音さんだった。
熱のせいなのか
少し目も潤んでいて
そして
今まで見たこともないような
優しい顔をしていた。
「そんな顔もするんですね。」
玲音さんが起き上がったことにより
ソファーにはもう一人座れるスペースが空いていて
衝動的にそこに座ってしまった。
「まあ、今だけかな。」
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