第3章 風邪のキミ
起こそうか
そのままにしておこうか、
考えていると玲音さんが動いた。
手のひらをおでこに当てている。
「美桜……」
「え?」
玲音さんが私の名前を呼ぶ。
私が居ることに気付いてたのだろうか。
「しんどい。」
頭だけこちらに向けて訴えてきた。
「え、風邪ですか?!」
「わからない。」
失礼します、と言って
玲音さんのおでこに手を当ててみた。
「熱、ありますね……」
どうしたものか
病人の看病なんてしたことない。
「ひとまず部屋で寝てください。ソファーダメです。」
と言って起き上がるように伝えたが
「やだ。むり。」
と子供のように言う玲音さん。
「もー、じゃあそこでいいので寝ててください。」
「おう。」
「ちょっと買い物行ってきます。」
急いで外に出ようとすると
軽く腕を捕まれた。
力が入らなかったのかもしれない。
それほどしんどいのかもしれない。
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