第6章 免許2
渋「あ、それ聞いた気ぃするわ」
ぽすん、と肩にすばやんが顎を乗せてきた。
「おん、言うた言うた」
亮ちゃんとすばやんまで来たせいか、女の子の顔が真っ赤になっていく。
「実は私も二回目なんですっ、受けるの…」
「あっ、ほんま??お揃いやねぇ」
前回の、あんまし落ちた人おらんやったって先生から聞かされてたからちょっと嬉しく思った。や、人が落ちたん喜んでたらあかんと思うねんけど、話しかけてきてくれた子が自分と同じ同じやったと思うとちょっと運命的なものを感じなくもない。
「そうですね」と笑いながら女の子も頷いてくれた。
この子が話しかけてきてくれた時はわたしだけやったから周りが騒ぐこともなかったけど、今はすばやんも亮ちゃんもおるし、ましてやカメラもあるから周りにちょっとした人集りができている。
これがカメラ効果か…!
少しして、『結果発表の準備が整ったため、お近くのTVモニターをご覧下さい』というアナウンスが流れた。
カメラもまた回し始められる。
渋「お前何番やったっけ」
「18番」
錦「18番な」
普通自動車受験だけじゃなく、トラックや二輪の受験も並行して行われていたため、受験者の多い普通自動車の結果よりも先にそっちが流れる。
「!!」
渋・錦「あ!!!」
同時に気づいた。見つけた。
「受かったぁー!!!!」
まだ実技だけであって、免許が取れたわけでもないのに涙が出た。
錦「あった!あったで!!」
ガシィッ!と力強く亮ちゃんに肩を掴まれた。
「い゛だだだだっ」
渋「ようやくやな!!」
「おひょっ」
今度は反対側のすばやんから、肩ではなく横っ腹を掴まれて奇声が出た。
スタッフさんから「カメラに向かって報告を」「しめます」というカンペを向けられた。
「あっ、はい!合格しました!」
錦「蒼生霄、無事本免実技、合格しました!この後合格後の説明会があるとのことでですね、とりあえず、今回はここで終了です」
渋「気分は?気分は、ど??」
「もうそりゃすごく嬉しいです!見つけた瞬間少し涙出ましたw前回とても悔しかったので。次は最後の筆記、頑張ろうと思います!」