第6章 免許2
村上くんから連絡をもらってから急いで向かった。
「おい!今どこおんねん!」
駅から走りながら霄に電話をかけた。
『少し様子見ながら歩いたから駅寄りではあんねやけど』
「まだ何もされてへんねやな??!」
『お、おん…亮ちゃん、走ってるん?』
「当たり前やろ!!」
ケータイに向かって息を切らしながら声を上げた。
スピードを上げるとすぐに霄の姿を見つけた。
「霄!」
俺の足音に気付いたのか、声に気づいたのか、霄と目が合った。そのまま俺が行くよりも先に俺に向かって走ってきた。
「霄、」
どうした、と声をかけようとしたけど、躊躇った。
暗闇の中で、微かに泣きそうな顔が見えたから。
後ろを振り返ると、霄を尾けていたであろう男は立ち尽くしているようにで見えたけど、はっきりとは顔が見えなかった。
「ごめん、ありがとう」
駅につくと霄が言った。
「ええねん」
その顔は顔面蒼白といった感じだ。
「少しはええ経験になったんとちゃう?」
俺が言うと、「は?」と眉を顰めた。
「お前、俺らが気をつけぇ言うても『あーはいはい。もー過保護やなぁ』て笑てたやろ。その結果がこれやぞ。」
自分でも、今は『大丈夫か?怖かったなぁ』て支えてやるべきとこやと思う。けどそれだけじゃあかん。
「…おん…」
「過保護とかちゃうやん。ほんまにみんな心配して言うてたんやんか。みんな守りたいねん。それは別に俺らにとってそこが重荷になるわけとちゃうんぞ?守りたい思ってるから守りたいねん。言うてんねん。重荷やったら最初からお前なんか認めてへんわ!」
そこまで言うと霄が笑った。
「お前なんか、って思ってたん?」
ふはは、と肩を震わせる。
「お前なんか、『お前なんか』でええねん。阿呆」
渾身のデコピンをかましてやると駅構内に響くような声で「痛ァ!!!!」と叫んだ。
「おらっ、一緒行ったるから自動車学校。」
「ん…。ありがとう」
「おお。」
2人で電車に乗りこんだ_______