第6章 免許2
帰ったら1人。
自分がおらんことも多いからペットを飼うことも出来ひん。
けれど、帰るまでワイワイと人に囲まれてるから一人になった時の寂しさがすごいねん。
「…二人とも明日も仕事やんな?」
わたしは明日は仕事が夕方からや。
渋「や?俺はないわ」
丸「俺は朝から大倉とやなぁ」
「…そっか…」
素直に甘えたらええんやと思うけど、甘えられん。
家帰ったらひとりなん寂しいから泊めて、もしくは来てって言うんはわたしのわがままやから。
渋「…あ、霄ん家、食べもんある?」
すばやんが思い出したように言った。
「え?あるけど…忙しい時とかぱぱっと作れるようなもんは買い溜めしてる」
野菜とかも買ってまだ日が浅い。使える。
渋「ほんなら泊めてや。」
「え」
驚いてすばやんの方を見ると素知らぬ顔をしてる。
渋「俺ん家、何もないねん。」
丸「すばるくん、下手したら何も食わへんし栄養ないもんばっか食ってるもんな」
渋「うっさいわ」
わたしを挟んでそんなやりとりをする。
…これが気遣い以外なんだと言うのか。
わたしは知ってる。
この人たちは気遣いができるってこと。その気遣いが恩着せがましいのでもなく、さも自分が困ってるからというのを装って助けてくれることを。
「…ふはっ…しゃーないなあ」
優しさに涙が出そうになる。
それをいつも堪えて、わたしはさも仕方なさそうに言う。
渋「ラッキー」
丸「ずるいわあ!俺も休みとかやったらなぁ!」
きっと2人だって気付いてる。
その気遣いがわたしにとってどれだけ優しいもので、泣きそうになるのを堪えてることを。
口に出さなくても伝わること。
それが多くなるにつれて、より、みんなのことが好きになる。
大事を通り越して何になるのかと聞かれたら答えれへんけど、でも大事という言葉でも足りひん存在やねん。
丸「ほな、ここで」
「うん、ありがとね!気をつけて〜!」
丸ちゃんと別れて、すばやんと家に向かう。