第3章 免許
「でも頑張ってるのが分かっちゃうってことはわたしもまだまだやね」
村「なんでや」
ヒナちゃんがズゾゾ、と音を立ててそばを啜った。
「…聞いたことない?
本当に頑張ってる人は、頑張ってんのを悟らせん、ってやつ」
わたしの目指すとこ。
『頑張ってます!』ていうのを表に出すんは簡単。
けどそれを、周りが分かれへんように、表に出さずにやってのける人はすごい。
キツさを見せないってことでしょ?
「それってアイドルにも必要やって思うんよね。
確かに、アイドルがやることで『あのアイドルも必死こいてやってるんや』って元気づけたりすることもあると思う。
それも大事なことやし、テレビに出る身としては必要やと思うねん。思うねんけどな、ずっとキツそうなん見せるわけにもいかへんやろ?やから、頑張ってるってのを見せんような1人前になりたいなって」
頑張ってるってのを人が認めるのだってすごいことやと思う。
ありがたい事やと思う。
自分の本気が伝わってんのやって。
横「ほんま霄は関ジャニ∞の…ジャニーズの太陽やなあ」
隣のよこちょに頭をポンポン、とされた。
横「ええんちゃう?その目標。そんなふうに考えれる時点で充分すごい思うけど、まぁそれだけじゃ霄は満足せんねやろし?
…けど、ほんまにキツイ時とかは誰にも言えへんでも、俺とか…メンバーにだけは言えよ?」
いつも、年長だけど、チャラけて、それでも、そうやってメンバーを引っ張ってくれるよこちょ。
カメラの前ではチャラけて目立とうとしてるように見えるかもしれないけど、それはグループを思ってのことだと思う。本人が違うって言っても、わたしはそう思ってる。
よこちょの言葉にはいつも励まされる。
よし、頑張ろって気合いが入るのと同時に、優しさに安心する。
「…うん。……ありがと」
丸「ほんま…ええこと言うわァ」
横「せやろ?」
村「それ言うたら台無しやわ」
「てか丸ちゃんがそうだよね!」
丸「へ?」
「丸ちゃん、頑張ってます!てのないよね!!いっつも現場和ませてくれるし、気遣いできるし……」
丸「え~〜なに~〜??照れるやんか~~」
んふっ〜!と照れ笑いする丸ちゃんをみんなで弄りながら、待ち時間が過ぎた_________