第3章 免許
短かったような長かったような。
(発着点だー!)
ついに終わりが。
端から30cmほどの位置まで寄せて車を止めなくちゃいけない。
これがなかなか難しい。
端が左側のため、車がどれくらい寄ってるか。
それをミラーなどで確認しなくてはならない。
S字やクランクのようにこれも感覚が大事。言ってしまえばまぁ全部感覚が大事なんだけど…。
視界の端の方には、よこちょと丸ちゃんが見ているのがわかる。
それを意識すると余計に緊張してしまう。
(何気ここも、先生から注意するように言われてたんだよねぇ…)
基本的にわたしは『ムラ』があるらしい。
できる時とできない時がぱらぱらと。
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横「あ、ウィンカー忘れてへん?」
丸「あっ!ほんまや!」
この発着点に止まるというのは、実際の道路で、道路脇に止まるようなものなので、左に止まるため、左ウィンカーを上げなくてはいけない。
が、
蒼生は忘れているようで、左ウィンカーを上げていない。
横「これで減点されてもまだいけるやんな?」
丸「多分…。これ教えれへんのきっついなー!」
ウィンカーに気づかない蒼生を見て、二人してそわそわする。
当たり前だが、試験だから有利になるようなことをしてはいけない。
『見てるだけ』がどんなにつらいことか。
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「あっーーーーー!!!!!!」
ドキドキの実技が終わり、その合否が出るまでの待ち時間。
丸ちゃんとよこちょにウィンカーのことを教えられ、思わず大声を出してしまった。
丸「霄ちん声大きいっ」
丸ちゃんが慌てて、「シィー!」と人差し指を口に当てる。
「ご、ごめっ」
自分でも慌てて口を抑えた。
横「でもまぁそれ以外は失敗してへんねやから大丈夫やろ」
よこちょが言いながら、ぽんぽんと頭に手を置いてきた。
ぽんぽんされると落ち着くのは小さい頃からの癖みたいなもんなんだろうな、と自己解析しながらその手の暖かさを受け止める。