第3章 免許
丸「あっ、霄来たで!」
バシンバシンッと横山の肩を叩く丸山。
横「痛っ!マル痛い!!」
丸山が指さす方向を見ると、霄が試験車に向かっているところだった。
丸「もう順番とか決まってんかな??」
ス「ちょっと隙を見て聞きに行ってみましょうか」
横「そうっすね」
霄が説明を受け終わる隙をついて丸山と横山が近づいていく。
横「霄、何番て?」
「わっ、びっくりした!…えっとね、2番目やから後ろに乗っとかなあかんねん!行ってくるね」
丸「いってらっしゃーい!」
ひらひらと手を振って試験車に乗り込んだ。
横「やっぱ緊張しとるなあ~」
丸「霄、緊張しいやからなぁ。しゃーないなぁ」
スタッフにはにこやかに手を振っていったように見えたが、メンバーにはやはり違いがわかったらしい。
横「まぁ、今日のいっちゃん最初の時よりはマシになっとるし大丈夫やろ」
そして、霄の順番になった。
スタッフ・横山・丸山は少し離れた場所で見守る。
霄は少し緊張しつつも、確認を怠らないように、と車の周りを見て回り、運転席に座った。
少しして、霄が車を動かし始めた。
横「S字とクランクさえ出来りゃ落ちることないと思うねんな〜」
丸「せやんなあ〜坂道発進とかもあんねやろ?でもAT限定やから大丈夫やろ!!」
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ぶっちゃけ、緊張してる。
本当は最後の最後まで指導員の先生には「危ないなぁ」とか言われてたから自信もほっとんどない。
でも皆が信じてくれてる。
わたしなら出来るって。
そんなん、頑張るしかないやん。
やっぱあかんやった、なんて思われとうない。
そんなこと思うような人たちやない。メンバーは。
でも他の人は?
わたしのことよう知らん人は?
あかんあかん
ネガティブ入ってきてる。
切り替えな。
やったるんや。
仮免の一つや二つ…(ひとつあったらええねんけど!)
呼吸を整えて、いざ尋常に!