第3章 免許
(っはぁ…ドキドキする…)
メンバーとスタッフさんたちと別れて、ひとりで部屋に入ると、もう20人ほど集まっていた。
自分の席を確認し、座る。
カメラが撮れるのはこの部屋以外の時。
つまり、技能の順番待ちの間と、特別にわたしが運転する順番に来た時。あと休憩中。
(ああぁ……この空気感、懐かしい…)
高校生まで、よく感じていた、あの試験の時の教室の雰囲気と似ている。始まる前のざわざわ感はさすがにないけど、試験中の真剣な空気。
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ス「おふたりはどう思います?」
カメラが教室に入れない間、スタッフが横山と丸山に聞く。
横「ん?受かるかどうかですか?」
ス「はい」
スタッフの言葉に、「う~ん」と考える横山。
横「まだ説明受けてる途中やからアレやけど…俺は受かると思うてる」
丸「僕もやなぁ〜」
横「あいつ、技能とか実技とか、体で覚えるタイプのこと苦手なんすわ。勉強とか頭で覚えるタイプのことのほうが得意で。自分でもわかってるらしくて。」
腕を組んで喋る様は、番組では見せることのない表情。
ぽつりぽつりと普段のそのままのことを話す。
横「でもね、あいつ、苦手や~って言いながらも結局最後はやり遂げるんすよ。」
それまで、どこか視線を落とし、ぼんやりと喋っていた横山がふっ、と薄く笑いながら視線を上げた。
丸「そやな~なんだかんだ言って出来ちゃうんよなぁ」
横「しかもあいつ、このグループでいっちゃんついてないんとちゃうかってくらい運なくて。」
丸「ついてない~ってこと多いねんな」
横「そう。けどそういうのも気落ちせずにしゃーないってまた頑張って、とか。あいつの9割くらいは努力やねんな。今回のこともすげぇ努力してんの見てるから。受かる。」
ス「丸山さんも?」
丸「うん、はい。霄やもん~。受かると思ってるで~。んー…もし受からんやったら僕が車の代わりしてまた練習付き合ったりますわあ」
とニコニコと答える丸山。
受からなかったら、と言っているがそんなことは微塵も思ってなさそうなにこやかさだ。