第3章 正夢リヴァイバル
「……先生の兄弟…………ねぇ」
「全然、まるっきり形すら、むしろ人類計の生態にも似てないのにね」
「めずらし、雪乃が俺以外にそこまで言うなんて……なんか嫌なことでもあった?」
私の手にガーゼを貼りながら、笑う
それに対して私は逆に不機嫌そうに瞳を細めた
「別に……怪我をさせられたからじゃないし、壁壊されて寒かったとかないし、シロさんは驚かなくて済んだのに驚かされたからとかじゃないし、雨だから最初っから不機嫌だっただけだし。この間のミルフィーユなんて……」
「うん、謝るから止まろう。ごめん」
ミルフィーユの報告だけは酷いと思う
私が好物なの知ってて、しかも休みなの見計らって……
せめて連れてってよ
奢らなくても良いから!行くんなら教えてよ!
「はい、いかがでしょうか」
「ありがとう。上手上手です」
「そりゃどーも」
自分の手を擦りながらカルマの向こう側を覗く
イトナ君と殺せんせーの行動はこう見ると結構似てる
容姿は似てないけど中身が似てる……って感じだ
「なにしでかすのかな。巻き込まれるのはもう嫌なんだけど……」
「まぁ……さっきのは不利益な事故として、俺らに危害加えるようなのはしないはずだよ。あのタコがキレるから」
「しかも雨なんだよね。先生、朝みたいに膨張したら動き鈍るんじゃないの」
「さぁ…………放課後になんないとわからないよ」
「…………早く止まないかな」
窓の外ではまだ止みそうにない雨
帰りまでに止んでくれた方が助かる
「……雪乃は今日渚くんと帰る?」
「…………ううん、流石に気まずいし。今日は気分じゃない」
「そう……なら、俺と帰ろっか」
「は……?」
なに言い出してるんだこの人は
疑問じゃなくてほぼ断定だったぞ
拒否という選択肢がなかったぞ
「なんでよ」
「リヴァイバルだよ。それだけ」
「リヴァイバルって…………再上映……?映画?」
「なんでしょう?」
「うわ腹立つ……」
けどまぁいいか
変わらないままが一番嫌だ
その約束だけ受理し、残りの時間を費やした