第3章 正夢リヴァイバル
そうだ
私は私が嫌いだ
何よりも、大っ嫌い
こんなのは才能なんかじゃない
全員……騙してるみたいなもの
カルマに問われた嘘つきじゃないって言うのも……そう
意図的なものを抜いたから頷けただけで、それを入れたら私は大嘘つきだ
「そんな私を嫌ってくれたカルマには感謝してます。私を否定してくれてる……唯一、私を悪いと言ってくれる」
美点しか見てくれない……見せてない私の汚点を見付けた
それを、ちゃんと嫌ってくれてる
僅かに微笑み、涙を拭う
「だから、私は許されたくない。わかってるあの人に許されてしまったら……私は自分を許してしまう。あの人を嫌いになれなくなってしまう」
自分を許すということは
同時にカルマを許すことだ
踏み込んでもらったお陰で……許せたということなのだから
感謝の情ぐらいならある私に、感謝されてしまうのだから
「……ね、先生。酷い人間でしょ……私。私のためを思ってくれてる人を……嫌いって言ってるんだよ。自分のために」
「間宮さん……」
「こんな私を好きって言ってくれる人なんてどこにも居ないよ。渚は……私みたいな人間と一緒に居ちゃダメなの」
私が踏み込めば……その人は変わる
小学校の頃の友人も……カルマも…………
何度も見てきた
人の変化の恐ろしさを
「……私は結局変われてないんだ。これは曲げられない。私が私であるための定義は……無い方が幸せかもしれない」
個人意思を持ったのなら……私は回りが見えなくなっちゃう
広く捉えてる瞳を、個人を見ては……
「我慢してたら感情は死んでしまいます」
「……正しいことを正しいと思えないのは、やっぱり自分を信じてないからですかね」
「そうとも言えますね。そんな間宮さんに先生から宿題を出しましょう」
「え?」
宿題?
「提出期限は三月までです。出せるようになったら出してください」
「何をですか」
にんまりと口角があがり、私の頭を再度撫でた
「ただそこにあるものを"捉える"ではなく、そこにあるものを"見た"結果の感想です。作文なんかにしなくていいです。気楽に楽しかったという感想でも構いません」
ただし……
「声に出して、先生に伝えてください。先生も、間宮さんの心の声が聞きたいです」