第3章 正夢リヴァイバル
「っ、……く…………」
もう何分泣いてたかわからない
昨日も泣いたのに……なんでこんなに泣き虫になっちゃったんだろ
一番最後に泣いたのはあの日だけだったのに
あれから絶対に泣かないって決めたのに
涙を止めようと必死で拭っていると、柔らかいものが頭に乗る
「!…………殺せ……んせー…………?」
「大丈夫ですか、間宮さん」
それは殺せんせーの柔らかい触手だった
なんで先生……放課後はいつもどっかに行ってるはずじゃ…………
でも、今そんなのどうでもいい
「先生……どうしよう。渚を、傷付けちゃった。私が、ちゃんとわかってなかったから……」
「自分を責めないでください。貴方は真剣に答えたはずです。渚くんも、わかってくれてるでしょう」
「でも…………私は……」
涙なんて見たくなかった
「渚に……泣いてほしくなかった」
「……悲しみも渚くんの持ち物です。貴方が背負うものではない…………カルマ君にも同じようなことを言われた記憶はありませんか?」
「え………………あ」
『俺の業を背負えって意味じゃないんだよ』
「……貴方を見ていて、見守ってくれている人はたくさん居ます。貴方のご両親も、もちろん先生もそうです」
「……………………」
「誰にも頼らない貴方を皆心配してます。文句を言わない貴方を心配してます。名門の制服がなんですか。人は皆……誰かを傷付けてしまう生き物なんです」
でも、それでも……回避できるものはあったはず
もし、今回の告白を私がyesと出してたなら…………渚は
「……私がyesって言ってれば…………渚は」
「逆に傷付けていたでしょう。貴方は渚くんの真剣な思いに嘘で答えているのですから」
「なら、私は……正しい……?」
「そうです。間宮さん、自分に自信を持ってください。貴方の才能は……貴方が自分を信じることで開花されます」
触手を指に例え、私の目の前で一本揺らめく
「そうすることができれば……貴方はこのクラスでも上位に君臨することができるでしょう。貴方の才能は貴方しか使えないのですから」
「………………才能なんてありませんよ。私は……貪欲なお人好しです」