第3章 正夢リヴァイバル
「……私ね、小学校のとき……好きな人がいたんだ。でも、それは私が本当に好きな人じゃなかった…………よくよく考えたら、ただ仲が良いだけ、そういう部類の男子を……私は好きだと言っちゃった」
それが、この性格の始まりの序章だったかもしれない
大人しい性格で、誰からも頼まれ事をされる……言われたら断れない
言われたら否定できない
「私のせいでその男子に勘違いさせちゃった……その男子を好きだった子にも…………。私はね、渚が思ってるような良い子じゃないよ」
だからね……と、言葉を繋ごうとしたとき
両手を掴まれる
止まれ、という意味かな
それとも、悪い子じゃないって……否定しようとしたのかな
でも……これは伝えないといけないことだから
回り道をしたけど、渚の待ってた答えだから
「…………だからね、渚。私は渚の気持ちに応えてあげれない。私を知ったら渚はきっと嫌になる。好きが、嫌いになるよ」
カルマみたいに
「カルマみたいに……私のこと、どうしようもないくらい嫌いになっちゃうよ。何年も許せないくらい」
私は裏切りはしたくない
踏み込んで傷付けたくない
そのための嘘なら喜んでつく
その嘘の罪なら喜んで受ける
渚が掴んだ手をぎゅっと握ってから、離す
……私に貴方の手をこれ以上握ってあげる資格なんてない
渚を、もう傷付けてしまったんだから
「……間宮さんは、僕のこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ。踏み込む勇気……それは私が嫌いな踏み込まれ方でもない。渚はこれからも好きだよ」
「そっか。そっかぁ……フラれちゃったなぁ…………」
「…………ごめんね」
「いいんだ。僕は真剣に応えてもらえて嬉しいから」
……ごめんね
笑う渚の目元には涙を拭った跡があって
どうしようもないくらいの罪悪感が募る
けれど、これが正しかったはずなんだ
確証なんてないけど
私のなかでは正しいはず
「……僕、今日一人で帰るね。間宮さん、気を付けて」
「……うん、渚もね」
精一杯の、できる限りで微笑みながら、私は手を振る