第3章 正夢リヴァイバル
視界の隅で私を受け止めるために邪魔と判断された彼の携帯が地面に落ちる
それでも、ほとんどの私の視界は彼の肩口で塞がれていた
「……ね、当たったでしょ」
「うん……当たった」
「もう少し、待って」
普段なら聞かない声量に落ち着く
だけど、次の声はこれもまた聞かない声で……
「なんだてめぇは」
「……おにーさんら、女子中学生一人を追いかけ回すことないんじゃない?」
ぞわ…………
普通に、怖かった
目を見てないから、自分に向けられてないから平気だったけれど
「俺は今から自己防衛するから……せいぜい頑張って」
……と、私からゆっくり離れていく
「間宮、目、閉じてればすぐだよ。そうだねぇ……30秒数えてて」
「ん」
目を閉じて、唱える
1……
2……
3…………
震えてるのはきっと痛みのせい
大丈夫、信じろ
15……
16……
彼の強さはわかってる
嫌いな相手のことは情報にいれてる
平気だ
自分のなかに唱えて、口に唱える
「30……」
「終わったよ。ごめんね……少し、遅くなった」
走ったせいもあるのか、息が荒い
それでも私を慰めるように抱き締める
「手……大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫だよ。私もごめん。混乱しちゃってて、飛び付いたり……しちゃって」
「歩ける?出来ればそのまま回れ右の方向で」
回れ右の…………カルマが来た方向か
なんでかと思ったけど、なんでかわかった
私に相手を見せないようにしてる
いくら再起不能レベルでやられてたとしても……何かしらのトラウマになると思ったから
言われた通りに後ろを向く、先ほど落とされたカルマの携帯を拾いながら