第2章 持続性スリープ
これはたぶん物理的に起こさないと起きねぇわ
「……悪戯でもしとくかねぇ…………」
髪の毛で紐結びしとくとか
回りに葉っぱでも飾っとくとか
顔に落書き……は、たぶん殺される
昔やったときの映像を思い出して即座にしまう
あれだけは二度とやらない、死ぬ
なんかかるーく済みそうなやつないのか
もはや起こすことを諦めて悪戯に走り出した思考……
ゾクッ……
「!」
だけど、それを横殴りするかのように違うビジョンが脳裏を横切る
………背筋から恐怖のような悪寒が走った
そのビジョンはこの間自分が宣言した願望
俺の手で……こいつをぐしゃぐしゃに泣かせてる映像
決して俺に見せたことのない泣き顔を晒す映像
想像なんて出来ないビジョンのはずなのに、なぜか鮮明に写った
……ありゃ……こんなに俺ドSだったっけ
これは自分への恐怖、だな
今この場でならそれが叶うとでも言いたいのかよ
脈打つ心臓を宥めながら、地面に手をついて、彼女に顔を寄せる
「……」
雪乃が悪いんだ…………これは
あんな宣告食らったくせに、こんなに無警戒に寝るなんて
もっとほら、逃げないと
追い付かれたって……抵抗、しないとさ
「……食われるよ、俺に」
そう呟いて、彼女の喉に寄せた