第2章 持続性スリープ
『カルマ、カルマ……!』
あぁ、夢だ
名前を呼んでいるのはもうこの夢の始まりでしかない
『……間宮だ』
『うん、私だよ。どうしたの、こんなにずぶ濡れで……風邪引く』
傘を差し出すと、カルマは次の言葉を期に……変わったんだ
『……良いんだよ、俺はしばらくこんなとこ、来ないから』
『え……………………っ!』
悪寒が走る、って、こういうことだと思った
赤い髪から覗いたその瞳を見た瞬間……蛇にでも睨まれたようだった
訂正、睨まれてはいない
ただ、例えるものとして、それが一番適切だったから
『間宮』
雨で彼が泣いてたのかはわからない
たぶん、泣いてないと思う。私も、この人も……互いの前で泣いたことなんて無いから
『間宮、あんたも……俺のことが嫌いならわかるよね』
あんたも……?
それは互いを示してるの?それとも別の誰かを示してるの?
そんな問いかけを掛けれないような表情を彼はしていて、傘を握り締めて震える私の手に触れて顔を寄せる
『間宮は俺を、俺の業を許すなよ』
「かるま」と同じ漢字の「ごう」
業は…………罪だ
『……そうしたら、俺は大切なあんたまで信じられなくなるから』
「…………………………」
また夜中に目が覚めた
起き上がり、回りの静けさに安堵する
皆の寝息が何故か私を安心させた
修学旅行で家じゃない別の場所で寝るから、見るとは思ってたけど……
誰かを起こしたりしなくて良かった……
「……雪乃……?」
「!」
と思ってたけど……起こしてたらしい
「か、やのちゃん……ごめん、起こしちゃったね」
「ううん、たまたま…………ふぁ、寝れないの?」
「……起きたの。暫くは寝れないかな」
「そっか。えーとね……ホットココアとかミルクとか、後…………お腹とか暖めると寝れるみたいだよ」
そうだったんだ
「ありがとう。試してみるね」
「うん、雪乃のために調べといたんだー。よかった」
「え、ごめん。本当にありがとう」
「良いよ良いよ、ふぁぅ…………んん、おやすみ」
「おやすみ」
茅野ちゃんはこういうところ優しいな
「試してみよ」