第2章 持続性スリープ
「俺の目的が終わるまで絶対に逃がさない。地の果てまで追いかけるつもりだよ」
「…………例えそれがもっと私に嫌われることになっても、ですか」
「……もちろん」
俺を捉えた瞳が僅かに細められる
何を言っているのか理解ができない、そういうことだろう
「私は誰にもあげません。差し出されれば握るけれど、それよりも前へは踏み込まないの。その人の特別にはならないの」
「そうかもね、あんたのやり方はそういうやり方だもん。切るも、切られるも……どちらも傷つかない。思い出は残らないようにしてる」
でもそれが俺相手に出来るの?
「踏み込まないならその分踏み込んでやるよ。逃げるなら追いかける。かくれんぼはもうお仕舞いだ……鬼ごっこを始めようよ」
何度か、こうやって対立したことはある
しかし互いに互いを追い込もうとなんてしなかった
どこかで願っていたから
この関係を崩しちゃいけないって
楽しいと錯覚してしまったのだから、ほんの僅かでも
「俺は雪乃を見てると楽しいよ。ペテン師の一人劇を観てるみたいで…………でも、それは観客の俺には要らない。劇は劇の劇壇上だけで良いからね」
あいつがゲームと称するのなら……俺も称してあげるよ
渚くんが言ったように……これはゲームだと
「一人楽屋で仮面を外して、のんびりしてる雪乃が俺は良いの。それを見てたいんだ。それから……その仮面を壊してみたい」
いつのまにか睨みに瞳を変えていた彼女の目に微笑む
「俺の手で泣いてよ。ぐしゃくじゃに壊れちゃってよ。そんで…………」
攻略、されちゃいなよ