第2章 持続性スリープ
「……それはというと」
「そうだね、今の雪乃はさほど嫌いじゃない」
私の手をスルリと解放しながら顔を寄せる
「そういや、俺たち互いに嫌いなところ言い合ったこと無かったっけね。この際腹を割って話そうか」
その提案に私はyesという返事がすぐに出せなかった
嫌いなところを言い合う。それは悪口とは違って他の痛みがありそうだ
「別に雪乃がnoと言うなら話は変わるけど。俺は停学明けであんたに話すことはたくさん持ってるわけだし」
「……停学明けてから何日経ってると…………勝手に停学になって、勝手に謹慎食らったのに」
「拗ねんなよ。感情豊かなのは良いことかもしんないけどね。俺の求めてることわかってる?」
暗い外の景色を写したオレンジの瞳が細められる
あーあ、この目から逃げることはできない
逃げれたとしても今まで逃げた分もあるからすぐにまた同じ状況に陥るだろうな
「……条件、つけるよ」
「退路の確保?いいよ、言うだけいってみなよ」
バレてるのがなおさらムカつくな
「補導時刻があるから、取り合えず今日は帰る。それで、テスト明けにまた話し合いの場を設ける。どうだ」
指を二つ立てて問う
いやうん、たぶん受理されない
これは条件というより延長みたいなもんだし
「却下、一時間あれば余裕で話せる」
ですよねー、貴方なら言うと思ってましたよ
ため息をつき、瞼をあげる
「……どうしていつでも私に踏み込むんですか。貴方の手はいつも私に届く範囲に居るのに、私の手は貴方に届かないぐらいの良い範囲で、踏み込むの」
言い出したら、私は全部言ってしまう
だから言わないようにしてたのに……
「どうして貴方は、赤羽 業は…………間宮 雪乃を見つけたの」