第2章 持続性スリープ
「俺はね、ただ見てるだけで良かったんだよ。コロコロ変わるから面白いんだもん。雪乃は」
帰り、渚くんと歩きながら言葉をこぼす
話したことなんて無かった
この話は、互いにも検索しない暗黙のルール……踏み越えたりなんかしない
互いを見ていた渚くんだから話せること
「でも、面白くもないときもあったよ。あいつは俺に対してそれを使ったんだ」
気付いてる俺としては、イライラしてしょうがない
言ったときだって、理屈を並べて優等生のように振る舞った
その後、逃げるために瞳を伏せて弱者を演じた
「器用だよ。ほんと。スイッチのONOFFがはっきりしてる」
「カルマ君は、そこが嫌いなの?」
「そうだね。俺は……あいつが嫌いなんだ」
また、暗示をかける
まだだよ、まだ…………
この関係は終わらせない
「……ゲームなんだよ。どっちが先に相手を攻略するかの。攻略されたら終わりのゲーム」
「…………攻略って、好きにさせるってこと?」
「え?」
好きにさせる?
「嫌いの反対って好きってことでしょ?相手を攻略したってことは降参なんだから好きになるまでってことじゃないの?」
「なんかそれ、ちがくね?」
「そうかな、攻略って相手を全部知ることでしょ?相手を全部知るには好きになってもらわなきゃ出来ないよ」
一理ある
けれど、そんな攻略は無理ゲーだ
あいつが俺を好きになることなんて出来やしない
「カルマ君と間宮さんの恋愛ゲーム……みたいな感じだね」