第2章 持続性スリープ
教室に着くと恒例になりつつある茅野ちゃんダイブが飛んでくる
「雪乃おっはよーう!」
「おおぅ……おはよう茅野ちゃん」
今日も元気一杯ですな
「あ、そういえば」
「?」
茅野ちゃんと戯れていれば、委員長の片岡さんが思い出したようにわたしに言う
「今日は集会あるから、お昼休みから本校舎に行くからね」
……ほん、こうしゃ……だと
ここから何キロあると……いや一キロだけど
この山道を一キロは辛いよ……?
例えるなら全長一キロメートルの巨大アスレチックをやってるようなものだよ?
「疲れるよ、それ。集会の差別受ける前にヘロヘロだよ」
「まぁ、いつものことでしょ。仕方ないよ」
「そうそう、テストも向こうだしね」
いやそうだけど……
ぐだぐだいっても何も変わらないか
心の中でそうケリを着ける
「だーかーら、今日は寝ちゃダメよ」
「はーい」
「ほんとにわかってる?」
「任せてください。そういうのは寝ないよたぶん、きっと、うん、信じてみて」
「すごい信じられないんだけど……」
いや寝ないって
授業中だって寝てないし
どれだけ私の睡眠はあてにならないの?
「……けどまぁ、私よりあてにならないやつはいるけどね」
頭に浮かんだ赤い髪
あの人は絶対でないな
そういうの嫌いって言うかめんどくさがりそうだし
「誰のこと?」
「すぐわかると思うよ」
「?」
何てったって一番前なんだから
その予想は当たり、集会に姿は表さなかった
「ほら、ね」