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【暗殺教室】君が好きになるまで

第10章 未来的アナザーエンド









「雪乃」


声をかければ

水色の瞳が振り返る

見慣れたはずの顔だが、いつもと違う雰囲気に緊張した


肌に似合う薄めの赤い唇

いつだったか残した、月と猫のイヤリングが耳元で揺れ

真っ白なウェディングドレスを彼女の黒髪が引き立てていた


湿った唇がわずかに微笑んで

あの頃よりも落ち着いた口調の鈴なりが俺に鳴った


「どうしたの?皆に挨拶に行ってたんじゃなかったっけ」

「もう終わったよ。ちょっと様子見に来ただけ」

「ふふ……ありがとう。本当は、少し不安だったの」

「不安?」


問い返すと、コクりと頷く

鏡を向いて、どこか懐かしいように眺める


「あの約束は口約束で、嘘かもしれない。今このドレスを着られてるのは、夢かもしれないって」

「……夢だったら?」

「嘘でもいいから最後まで見てたい、かな?」

「残念。今から見るのは現実で、最後もなく未来だよ」

「そうね」


無邪気に笑った彼女も

見かけよりも緊張してたらしい

表情が先程より柔らかくなった気がした

良かった……話に来て

彼女は優しいから

溜め込んでしまう

化粧を崩さないように指先で頬を撫で、微笑み返した


「緊張してる?」

「もう平気。カルマなら、ちゃんと待っててくれる」

「うん、雪乃なら、ちゃんと帰ってきてくれる」


細い指先を絡めて、額を当てる

大丈夫、信じてるから

ずっと、味方だから

そう言った気がした


「最後……だよ。これからは一緒だから、今日で最後。…………待っててね。お父さんと、そっちに行くから」

「待ってるよ。E組と、佳奈さんと……殺せんせーと…………皆で」

「……いってきます」

「いってらっしゃい」


手が離れる

今度、手に触れるときは

その時は


約束が叶うとき


長かった

最悪の出会い

最悪の関係から

最高の出会いと

最高の関係を手に入れるまで


もう、好きになるまでの時間は要らない


幸せにするから

ずっと

あの日の約束を守り続けて



ただ俺を好きでいてくれたら

俺は十分だから

それだけで


なにがあっても、雪乃を助ける理由になるから
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