第10章 未来的アナザーエンド
「ーーーーー♪」
「………………」
『カルマ君』
『なぁに、殺せんせー』
あれは、雪乃がシロに触手を植え付けられて、助けた時だったな
心地の良い、彼女の声を聞きながら思い出す
『間宮さんは』
『寝てるよ。体の疲労がすごいみたいで』
彼女と帰る前
一緒に帰ろうと約束をしたすぐに、彼女は寝てしまって
片岡さんから雪乃を託された後の話
他のみんなは先生に促されて、後ろ髪を引かれるように帰った後の話
『で、どうしたの?』
『なぜ、あのとき飛び出してきたのですか?賢い君なら、あんな無茶ではなく他の手だてを考えたはずです』
そうだろう
今考えれば、自分でも相当なことをしたと思う
首に手を回されたときはほんとに、死ぬかと思った
『……他の手だてを考えてる間に、雪乃が、手の届かないところまで行っちゃう気がしたんだよ』
『手の届かない、ですか』
『戻ってこない、二度と、俺のところに。避けることができないのなら、抱擁してしまわなければならない。そう思ったら、雪乃の前に出てた』
『シェイクスピア、ですか。君にしては珍しく感情的に行動したんですね。今回はそれで助かりましたが、あまり誉められた行為ではないです』
『わかってるよ。でも……雪乃を取り返したかったんだ。だって俺は……』
雪乃が好きだから