第9章 好きになるまでカウントダウン
手を引かれて家の中に入る
そういえば、カルマが私の家に来るのは多いけど……
私がカルマの家に上がるのは久しぶり、いや、部屋まで行くのは初めてかもしれない
そんなことを思いながら開いた部屋のドアに入ると、カルマは振り返る
「雪乃、ピースして」
「え、……はい」
なぜピース
そう思いながらもピースをすると
カシャ
シャッター音
「は……カメラ?」
「そういや、渚とか茅野ちゃんとかの写真はあるけど、雪乃はないなーって思って」
「いや、撮るなら撮るって言ってくれたら笑ったりしたのに」
「笑ったのは誰かしらから貰えそうだし、これで満足」
そうなのか……?
そして私の写真流通されちゃうことになってるけど皆そこら辺の遠慮はないの?
「盗撮フォルダに私のが入ってないのは中々不思議。一番撮られてそうなのに」
「何でだろうねぇ……気が付いたら雪乃と別れてて、撮るタイミングがなかった感じ」
「そっか」
私もカルマの写真は持ってないな
全員が写ってる写真とかのは持ってるけど
「それより、うるせぇマスメディアのせいで渡せなかったやつ。今日寄ってもらった理由のやつね」
「バレンタインのお返しだっけ。三倍返しを期待してよろしいのですか?」
「値段的には三倍はないよ。お守りみたいなやつだから」
お守り……
別に三倍返しじゃなくてもお礼くれるだけで嬉しいんだけど
袋を開けてみると、銀色に光るリング
ネックレスになるようにチェーンがついてる
宝石とか、そんな邪魔になりそうな装飾なんてなくて
シンプルなデザインのリングだ