第9章 好きになるまでカウントダウン
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だけど…………
「さよなら、殺せんせー」
「はい、さようなら」
渚の振り下ろすナイフを追いながら、それをしっかりと涙で染まった視界で見る
私たちは、私たちの庭とも言えるこの裏山で兵士たちと戦い
先生と会うことを果たした
けど、二代目死神たちにより私たちに攻撃を仕掛けるという乱入に先生は深手を負ってしまい
全員の名前を呼んでから、渚のそのナイフによって生涯を終えた
普段なら人前で泣くはずなどない寺坂くんや、イトナくん……そしてカルマまでもが涙を流し
けれど、恩師の最後を皆で見取り……
一足先に暗殺教室をE組は卒業した
「……うん、うん…………まだ全然、お母さんがなんとか追い払ってる……うん」
それからは大変だった
それぞれの家にマスコミは殺到
私たちは卒業式ですら、出れるか危うい状況だった
覗いていたカーテンを閉め、布団の上に踞る
喪失感……とは違う何かが私を襲ってる
家から出られないというストレスも
恩師がこの世から居なくなってしまったというのが……一番
「……朝からずっと、人に見られてる気がして…………緊張が解けない」
『そう…………他の連中も同じ感じ。雪乃からしたら相当だろうね』
「卒業式、出たいのに……」
『烏間先生に磯貝が頼むらしいよ。全員同じ意見だから』
「よかった……」
皆に会えないまま高校になんて行けない
『寮に行くの、四月からだっけ。一苦労だね』
「ううん、そこはイリーナ先生が知り合いに頼んで配慮してくれるみたい。知り合いについては問わなかったけど」
『なら安心か。……じゃあ、卒業式で』
「うん、電話ありがとう」