第9章 好きになるまでカウントダウン
「雪乃ー、生きてるー?」
「はぁ、はぁ…………い、きてる」
「中村、雪乃が死にそうだからやめてやってよ」
「はーいよ、それに、私もうデキちゃってる二人はからかっても面白くないからあんまり興味ないのよ」
「私がくすぐられた意味」
「面白かったから」
恨むぞ中村ちゃん……
三白眼気味に睨む頃には、中村ちゃんは逃げるように去っていっていた
「はぁ…………熱い……」
「首の方が効くのにねぇ……」
「っ、やめなさい!」
中村ちゃんと同類だ……
助けてくれなかったのは見て楽しんでやがったな
伸びてきた手を掴んで止め、睨む
知ってることだけど、逆にカルマは微笑む
「言えばよかったのに、もう渡したって」
「言ったら言ったで何か聞かれそうな気がしたの!どんなのとか、どうやってとか」
「どんなの、に関しては……まだ雪乃しかわかんねぇからね。どうやって、は……わかるけど」
私から自分の手を解放しながら、離れる
その姿を目で追いながら、私は声を風に乗せた
「ごめんね」
その謝罪は
カルマに対して謝ったんだ
自分へのごめんじゃない
自然と、私の口から発せられたものだ
「……なんであやまんの?嬉しいよ、"大切なやつ"から貰えて」
「…………"彼女"からじゃなくて、ごめん」
目を伏せると、頭が重たくなる
「やめて、雪乃がそんなに優しいから、俺は甘えたくなっちゃうじゃん」
それは私の頭を彼が撫でてるからだ
「俺が甘えたら、雪乃は応えちゃうでしょ。大丈夫だよ、三年なんてあっという間だから」
「…………うん」
「……いける?」
「平気……ただ、このまま」
「わかってるよ。卒業するまでは……まだ勇気をあげれるから」