第8章 期待値アンサー
その言葉を自分で言って
私はなんで悩んでたんだろうと思った
そうだ
私は信じてる
彼を信じてる
何を迷う必要があったんだ
家について、お母さんたちがまだ帰ってきてないことを確認すると私は部屋に招き入れた
ずっと繋いでた手を離さないで、約束のように握り返していてくれる彼に微笑む
「あのね、待たなくて良いよ。好きな人ができたらその人と付き合って。でもお願い……」
三年後、また私に「おかえり」って言ってください
「好きになってくれなくてもいい。嫌いなら嫌いになっちゃってももう構わない。ただ、今だけ……私に勇気をください」
笑って言えたかな
涙なんて流してないかな
まぁ……もうどうでもいいや
「間宮 雪乃が赤羽 業を好きだったこと、嫌いだったこと…………邪魔なら忘れてくれてもいいから。三年後だけ…………思い出して、ください」
こうやって、手を繋いでもらって
「……三年で、たかが三年で……雪乃との三年間は忘れないよ」
ぎゅって……抱き締めて
この人の腕のなかに居れるなら
今だけでも居れるなら
……もう構わない
「……勇気、俺にもちょうだい。このまま暫く居させて」