第8章 期待値アンサー
口を挟まないように
その言葉を聞き入れる
彼女は言葉の間挟みを嫌う
変な言い方だけど
一人で喋らせておいた方が思ってることを話してくれるんだ
「E組にこれてよかった。皆にあえてよかった。カルマに会えてよかった。たくさん、よかったよ」
幼さを残さぬ振る舞いは本音を隠すから
幼さ残る言葉遣いは素だから
中学生なんて、まだガキなんだから
「中学生だったことなんて、忘れちゃうくらい……色々学んだけど、私…………やっぱり大好きだった」
何を?なんて
そんなの聞くの間違ってる
こいつにとっての好きなんて
聞きあきた
「一人一人の仲間が大好き……暗殺で得た仲間だけど、それだけど、椚ヶ丘中学校の仲間だからね」
「……そっか」
「ありがとう。……って、たくさん言っちゃってる…………他に何かないかな」
悩むように顎に手を添える
「ありがとう」で区切ろうとして
だけどそれが言い過ぎていて
感謝味が無いことに気が付いて
それ以上を考える
前に聞かれたとき
純粋にそれ以上はないって思ったけど……
「……言われて嬉しい言葉、なら、感謝じゃなくても良いよ」
「感謝じゃなくてもいい?」
嬉しい言葉なら、やっぱりこれな気がする
「"裏切らない"、"信じてる"……それだけでいいよ。俺の期待には答えてくれるんでしょ?」
降りる駅のホームで電車の扉が開き、俺は手を引いたまま降りる
振り返ると、驚いていた顔が満面の笑みに変わって……
「うん!カルマのずっと味方だよ。助けてくれた日から……ずっと信じてる」