第8章 期待値アンサー
「おいお前ら、高校どこ行くんだ?」
「ちょっとレベル下げて余裕あるとこ行くわ」
「殺せんせーが高三の基礎まで教えてくれたからな。高校生活は技術のスキルアップに専念だ」
帰り、各々が進路についての話をする
「私たちは結構無理するよ」
「『マスコミ志望にはやはり学歴もほしいですねぇ』って言われたし」
その会話を垣間聞きしながら、私はほぼいつものメンバーの方へ耳を向ける
「カルマはどこの高校へ?」
「んー、俺は椚ヶ丘に残るわ」
「え!?カルマ君ならもっと上の学校行けるのに!?」
「わざわざ外部受験で入り直すのかよ!?」
驚きの声を表す二人に
本人は悪戯っ子のように明るく話す
「本校舎の連中の気持ちになってみ?追い出したはずのやつが戻ってきて自分達の上にたたれるんだよ?雑魚どもの屈辱的な面を後三年も拝めるなんて最高じゃね?」
「良い性格だね……」
本当にゲスい……
でも、椚ヶ丘に残るんだ
それならやっぱり……浅野くんとの勝負がしたいんだな
サシでのタイマンなら、あの人が適役だ
……カルマも、渚も
茅野ちゃんも杉野くんも奥田ちゃんも……
皆、それぞれに決意を固めて行くんだ
自分の意思で
「………………」
私だけ、恐怖を感じてる
一人にじゃない
久しぶりに再会したときの
変化に
「間宮は?」
「…………え……」
そんな考えを引き剥がすように
杉野くんの声で現実に戻される
私があまりにも喋らなかったのに違和感を感じたのか
それとも、ただただ興味なのか
「どの学校に行くんだ?」
「え、と…………私は……」
「杉野、それは……」
何を悟ったのか
何故か渚が庇うようにした
……ダメだ
こんなんじゃ
結局は皆に言わなきゃいけないことなんだ