第8章 期待値アンサー
夜が明けて
私は皆と一緒に広場でロケットが打ち上げられるのを見る
いいや、見送る
ダミーじゃなくて、人間を乗せたロケットを
「行っちゃったね」
「うん、先生でも追い付けないよ。あれは」
白煙が空を龍のようにうねり、私はそれの軌跡を追う
居ないだろうな……こんな体験ができる中学生は
E組は普通の中学生とは違うけど
普通の中学生と変わりない生活が部分報酬だ
滅多に宇宙になんていけない
私もきっと大人になっても行かないとおもう
この地球から足を離すことはないとおもう
「…………さて、と」
一つ息を吸って、吐く
勉強しなきゃ
律からの映像が届くくらいまでは、少しでも
心配してない訳じゃない
けど
私はただいまを聞くまで次の笑顔をとっておくんだ
二人に出せるように
それから
カルマに言えるように
笑って、言えるように