第8章 期待値アンサー
笑ってそう告げると、満足感のような表情で先生も頷く
それから、次に少しだけ寂しそうな表情で
「……進路のお話、カルマくんにはしましたか?」
「………………」
それに対して私は沈黙した
したと言えばした
してないと言えばしてない
カルマに問われた夏休み最後の日以外は
特に詳細を話してないんだ
「してないようですね」
「……はい」
「いつするのですか?」
「…………未定です」
「最後まで言わずにさよならだけはしないでくださいね」
「わかってます。受験が始まる前には……必ず」
「間宮さんは私立受験になりますからね。うやむやな気持ちで受けないよう、ハッキリ言いましょう」
きっと、言ったところで向こうには何の支障もない
こんなに長い間離れたなら……
縁も薄れる
それが人間だと私は小学校の頃に知ってしまってるから
「……まだ高校生活があるかもわからないのに、カルマは受け入れてくれますか」
「何だかんだで彼は貴方に甘いですからね。貴方の将来を狭めることはしないでしょう」
「私を忘れないですか。待ってて、くれますかね」
「……わかりません。人の感情ほど難しいものはありませんから」
「………………結局は、信頼問題になりますよね」
私って重たいな
私がこうやっていってたら
カルマの生活が狭まる
私を自由にしてくれたのに
向こうが縛られてしまう
「…………渚とカルマが、宇宙から帰ってきたら……言いたいと思います」
「……はい、では、先生はその間イギリスへ行ってきます」
「絶対ですよ?」
「もちろんです。邪魔はしません」