第2章 持続性スリープ
そんな惨劇もあったけれど、時間はいつも通りに流れていく……
何だかんだでイリーナ先生馴染めたみたいだし
あんなに嫌われてたのにね、すんなり仲良くなっちゃう辺りあの人の雰囲気なんだろうなぁ……
「んー……ふぅ、さて」
ぐぃー……と、大きく伸びをして、一気に力を抜く
「……いつも通りに私もやろうか」
"一気にレム睡眠に入るために"
まぁ、きっと、どうせ夢は見ちゃうんだけど
一人の教室で、少しの苦笑い
「あ!間宮さん、まだ居たんだ?よかったら一緒に帰らない?」
「うん、帰ろっか。今日は杉野くん居ないの?」
「みたい、まぁ、僕は当番だから」
「そういえばそうだね」
良かった……独り言は聞かれてないみたい
「よし、帰ろーか」
・
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あの日は雨だった
『間宮』
彼がまだ、私を間宮と呼んでた時期
私たちの仲も今ほど険悪ではなかったかもしれない
ただただ、若干の冗談混じりの悪口とかも入ってた時期
『間宮、あんたも……俺のことが嫌いならわかるよね』
泣いては、無いと思う
けれどその表情が怖くて、怖くて、傘を持った手が痛いほど握り締めてたのは感覚的に残ってた
冷ややかで、冷たい……雨と、瞳
濡れた赤い髪から覗く、いつも私に使うのとは違う瞳
『_________』
「!」
ビクッと、体が震えて目が開く
…………あぁ、なんで、いつも"ここ"なんだ
もっと、もっと他の思い出くらいあるでしょう?
布団から体を起こして額を押さえる
汗もかいてて気持ちが悪い……
外を見ると雨が降っていて、あぁ、こいつのせいだと思う
「……雨なんて、嫌い」
嫌いの順位でいけばそこそこ上位
トップは一年の頃から変わらない
嫌いだよ、言われなくてもずっと……わかってる
貴方が私に入り込んだときから、ずっと嫌い
私は…………
何でも持ってる、何でもこなす貴方が……
羨ましい