第2章 持続性スリープ
「なにこれ、やだ」
「やだ言うなよ。見てる分には面白いけど?」
「馬鹿」
のんびりといつもの会話のように聞こえるが、いや確かにいつもの会話なんだけど……
ひとつどころか多いに違う点がある
「帰ってよ!!」
「そーだそーだ!!」
「な、なによあんたたち!!」
私たち以外の罵声と……物の散乱
一番後ろだから何も飛んでこないし、まったくと言って良いほど被害の「ひ」の字もないんだけど……
「あー……うるさいー」
音はどうにもならない
いや、そして遅れたけど茅野ちゃん
その批判はなんか皆とずれてる
「雪乃が異常なんだよ。普通は怒るもんだよ」
「はいはい、どうせ私は血も涙もない人間ですよ」
「誰もそんなこと言ってないし、話曲げんな馬鹿」
「馬鹿に馬鹿って言われてもね。ばーかばーか」
「小学生かよ……馬鹿はどっち」
「行動的には赤羽 業。頭脳的には間宮 雪乃」
そして総合的には…………
「あれ、どっちなんだろ」
「馬鹿」
くそ……平均的すぎてどっちが馬鹿かわからない
ていうか、あれだね
私たち二人とも全然空気も雰囲気も読んでない
「あはは……何て会話してるの。二人とも」
「あ、終わったの。渚」
「完全鎮圧ではないけど、大方は」
ほぅ……確かに皆さっきよりはいつも通り…………
「雪乃ー!!」
「うぐっ…………」
「もう私の味方は雪乃だけだよー!」
何があった……そして苦しい
茅野ちゃん、私が死ぬ。死因が友人から抱きつかれたと思ったら首を絞められ死亡とか絶対嫌だ
「雪乃はそのままで居てね」
「だからなんのこと!?」
「成長するなってことじゃないの?身体的に」
「う、うるさい!!」
中学生で成長は止まらない
絶対止まらない、私の身長はまだ伸びてるし、きっと大丈夫
「滅茶苦茶な英語の時間だ」
渚のその呟きに同感せざる終えない