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【暗殺教室】君が好きになるまで

第8章 期待値アンサー


「ボコボコの顔でアホみたいな面してんなよ。伝染病に かかったネズミみたい」

「何でそんな悪口はスラスラ出てくんのかな…カルマ君は」


その言葉を受け流しながら、俺は体を飛び起こす


「てかさ…いいかげん、俺ら呼び捨てでよくね?」

「え……」

「喧嘩したあとにくんつける気になんねぇわ」


そういえば

雪乃が俺らのことを名前呼びに変えたのって

俺と渚が疎遠になり始めたころかも

間挟みにされてたような気分だったんだろうな

どうにか俺らを取り繕うとしたんだろう

三年間

何も見てなかったなんて嘘だろ

捉えつつも

とらえてるから

変化がわかってた


「でも今さら変えるのは……」

「じゃあ俺だけ呼ぶよ。それでいいの?"渚"」


差し出した手に

いつも重ねてたのは雪乃だった

渚が差し出しても

いつも重ねてたのは雪乃だ


繋げるのは……雪乃か


それが相手にも伝わったのか

渚は少し笑うと手を握った


「うん、"カルマ"」


ぐっと手を引いて立ち上がらせる

そうしてやっと落ち着くと……




黒髪が……





「うぇ……」

「うわ」




どさっ!




首に巻き付いた腕と飛び付いてきた体を受け止める体力なんて残っておらず

そのまま二人とも地面に再度倒れる


「間宮さん?」

「雪乃?」

「…………よかったね」


泣いてる?


震えてた声にそんな思考がよぎり

急いで視線を向けるがそんなことはなかった


「……よかったね…………痛かったね……お疲れさまでした」


寧ろそんなのなくて

俺たちを迎えるのは笑顔だった

その笑顔に

俺と渚は顔を見合わして


笑う



「「ありがとう」」



右手と、左手

互いから伸びた片手が

幼さ残る彼女の頬を撫でる


それに対して嬉しそうに瞳を細め

両手で俺たちの手を握った
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