第8章 期待値アンサー
どうしようもないくらいお人好しな私は
どちらか一人を応援することなんて出来なかった
ただただ、対立しあい
殴り合い
蹴り合い
組み合い
蹴落とし合い
傷ついて……
怪我して……
怪我して…………
傷ついて…………
「間宮さん?」
「……………………」
「間宮……さん?」
痛い……
二人が抱えていたそれぞれが
痛い
三年間……二人を見てなかった自分が歯痒くて
見ていれば気付けたようなものがあって
前の私はやっぱり……
誰かを好きになるなんて出来なかった
渚に嘘を言わなくてよかった
こんな人間を好きになっても、辛いだけだ
「…………カルマ、渚……」
貴方たちは同じ人間を好きになりました
けれど一方は嘘を好きになり
もう一方は本当を好きになりました
どちらが正しいかなんて私にはわかりません
どちらが幸せになれるかなんてわかりません
嘘であった方が幸せであるときもあります
二人は……どんな世界を見てきましたか
どんな私を見ましたか
どんな間宮 雪乃を求めましたか
それは
私という定義に当てはまりましたか
求めた期待通りの私でしたか
二人が抱えていたそれぞれが
もし打ち合いで和解されるなら
私は見なければいけない
今までの恩返しを
"間宮"とほとんどを過ごしてくれた渚と
"雪乃"を確立してくれたカルマに